1885年から続く福岡の工芸品、井上籃胎(らんたい)漆器のうちわ2種です。
井上籃胎(らんたい)漆器では、地元福岡県筑後地方の吟味された真竹のみを使用。
しかも、11月~12月に切り取った上質の真竹(3~4年もの)の節を除いた部分のみを使うというこだわりっぷり。
一定の幅に割った真竹の内外の皮をはぎ、中心部より同じ厚みの竹ひごをつくる真竹割りを経てやっと、用途に応じ種々の形にする籃編みに入ります。
原型が完成したら、地塗り、下地塗り、塗り、研ぎ出し、また淡透漆を塗るか摺り漆をして完成。
と、多くの工程を経て、一本の竹からひとつの製品となります。
竹籠の凹凸を幾度も研ぐ工程は、どんな色合いと仕上がりにしたいのかによって、塗りや研ぎ出しの方法を変えて漆器表面の模様を出すのだそう。
黒地に朱色がのぞく一枚は、黒→朱3度→濃溜、、、と、
ナチュラル×茶色は、濃溜からさらに黄褐→溜→淡透の順と幾度も重ねて塗られた後の研ぎ出しのおかげで絶妙な風合いに仕上げているようです。
とことん手間を惜しまない製品作り。
暑い夏も風流な気持ちで過ごせそうな、贅沢なうちわですね。
福岡久留米で始まった籃胎漆器のほとんどが中国に技術指導し輸入された品になっている中、今でも熟練した職人が地元の真竹のみを使い丹精込めて作り上げる井上籃胎漆器では修理もしてくださるようです。
未使用の美品。